国際教育協力プロジェクトは教育の公平性(equity)を高めるかという関心を起点に、本稿は国際協力機構の基礎教育領域の技術協力プロジェクト評価文書を事例に、公平性とOECD-DACの評価5項目の関連用語の出現頻度を対比的に集計した。その結果、公平性への言及は評価5項目に比肩し、その限りでは公平性は看過されているとはいい難い。しかしプロジェクトの進捗と共に公平性への言及は減少し、さらに格差是正に明示的に取り組むプロジェクトは全体の4.5%(5/110)に留まる。現状では、公平性効果はプロジェクト形成や評価においてほぼ不問の状態である。SDGsは公平な学びを筆頭課題に掲げており、公平性増進の取組みをプロジェクト形成(対象、目標、成果、活動、指標)や評価に含め、プロジェクト単位のSDGs達成貢献の最大化を図ることが喫緊の課題である。