2017 年 18 巻 1 号 p. 1-13
気候変動適応の介入は影響や被害を受けた多様な地域で実施されるため、国際的に統一したモニタリング・評価(M&E)の枠組みが未だ確立されていない。気候変動の特性である不確実性に対処するためには、プロセスを重視し、柔軟性をもったプログラムのM&Eの構築が求められている。こうした問題意識の下、本稿は、セオリー・オブ・チェンジやプロセス指標の有用性を論じる。また、適応の受益者の大部分は脆弱地域の住民であり、彼らの適応能力を向上させるための参加型アプローチの可能性についても論じる。今後の適応M&Eの発展のためには、1)ドナー主導のトップダウン型とコミュニティ・ベースのボトムアップ型の枠組みを双方向で循環させ、2)異なる地域でのグッド・プラクティスを集積し、3)各機関で情報を共有することが重要である。