日本評価研究
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研究論文
地方自治体における臨時・非常勤職員の制度改正
-事前評価を通じたデザインと理論の重要性-
湯浅 孝康
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2019 年 19 巻 1 号 p. 19-34

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抄録

 平成32年4月1日から施行される地方公務員法および地方自治法の改正では、地方自治体の臨時・非常勤職員について、その任用制度の明確化、職の整理、服務事項の適用、手当の支給による待遇改善などが実施される。しかし、法による統制と地方自治体の裁量の範囲が曖昧であることから、新たな課題が生まれる危険性をはらんでいる。また、恒常化している地方自治体の財源不足から、臨時・非常勤職員が制度改正のメリットを十分に享受できなかったり、雇い止めが発生したりする恐れがある。さらに、臨時・非常勤職員の減少や人事評価の対象人数の急増によって、常勤職員の負担がさらに高まり、働き方改革の足枷となってしまう可能性もある。「公共」の重要な担い手である公務員の制度改正にあたっては、こうした影響も踏まえて、事前にその必要性やデザイン、理論を十分評価・検討したうえで実施することが重要である。

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