日本評価研究
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19 巻, 1 号
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研究論文
  • -インド マディヤ・プラデシュ州における女性自助組織の事例より-
    高田 美穂
    2019 年 19 巻 1 号 p. 1-18
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     マイクロクレジット(MC)プログラムの目覚ましい拡大を背景に、近年、多くの研究が検証に取り組んできたが、貧困削減効果が明確にあるのか否かについてはコンセンサスが得られているとは言い難く、また、どのような経路を通して貧困削減効果が達成されるのかも不明瞭である。そこで、本研究は、インドの中でも最貧地域であり金融包摂の遅れているマディヤ・プラデシュ州におけるSHG(女性自助組織)プログラムを分析対象とし、マッチング手法と差分の差法を掛け合わせる準実験手法を用いて、MCプログラムが世帯の金融上の制約を緩和し、貧困を削減させる効果があるのか、そして効果がある場合はどのような世帯の金融行動の変化を伴うのかを検証した。

     結果から、途上国におけるMCプログラムは、世帯の金融上の制約を緩和し、貧困を削減させる効果があることが証明された。また貧困削減効果への経路を解明するための受益者の金融行動の変化については、受益者に有意な差が確認された。

  • -事前評価を通じたデザインと理論の重要性-
    湯浅 孝康
    2019 年 19 巻 1 号 p. 19-34
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     平成32年4月1日から施行される地方公務員法および地方自治法の改正では、地方自治体の臨時・非常勤職員について、その任用制度の明確化、職の整理、服務事項の適用、手当の支給による待遇改善などが実施される。しかし、法による統制と地方自治体の裁量の範囲が曖昧であることから、新たな課題が生まれる危険性をはらんでいる。また、恒常化している地方自治体の財源不足から、臨時・非常勤職員が制度改正のメリットを十分に享受できなかったり、雇い止めが発生したりする恐れがある。さらに、臨時・非常勤職員の減少や人事評価の対象人数の急増によって、常勤職員の負担がさらに高まり、働き方改革の足枷となってしまう可能性もある。「公共」の重要な担い手である公務員の制度改正にあたっては、こうした影響も踏まえて、事前にその必要性やデザイン、理論を十分評価・検討したうえで実施することが重要である。

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