日本評価研究
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ミニ特集:評価の「利用」と「影響」を考える
業績測定の利用と影響
-公共図書館を事例とした実証分析-
田辺 智子
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2019 年 19 巻 2 号 p. 3-18

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抄録

 本稿の目的は、日本で十分紹介されてこなかった評価影響の理論を用い、評価がどのように利用され、組織や職員にいかなる影響を与えているかについて分析を行うことである。評価影響の理論では、影響の種類として、「認知・感情的アウトカム」、「モチベーション的アウトカム」、「行動的アウトカム」、「一般的影響」があると整理されている。事例としては公共図書館における業績測定型の評価を取り上げ、7館の公共図書館を対象としたインタビュー調査を基に評価影響の発現状況を分析した。分析の結果、公共図書館では、職員・組織の両面において多様な評価影響が生じていることが明らかとなった。また、評価影響の発現経路としては、評価が契機となってサービスの見直し・改善が実現する「改善ルート」、年度の目標達成に向けて意識・努力が行われる「目標達成ルート」、評価を外部への説明に利用する「対外説明ルート」の3種類が観察された。

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© 2019 日本評価学会
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