日本評価研究
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研究論文
地方創生アンケートから評価する市町村の合併と連携
村上 裕一
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2020 年 20 巻 2 号 p. 105-119

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抄録

 本稿では、筆者らが2016年から2017年にかけて実施した地方創生アンケートの結果を、「平成の大合併」における合併・非合併自治体の異同に注目して分析した。これは、実地調査の成果を踏まえ、フランスとの比較も織り交ぜながら、「平成の大合併」と地方創生の政策手段・プロセスとしての市町村合併・連携を評価し、その条件や効果、自治体の思考様式の理論構築を試みるものである。その結果、非合併自治体は、地方創生によっても広域連携を促されることはあまりなかったのに対し、近隣自治体よりも域内外産業との連携を志向しがちであることが明らかになった。合併自治体は、合併により自治体職員の専門性を十分向上させたとは言い切れず、意思決定が役所内で完結しがちであることから住民参加にも消極的になっている可能性がある。とはいえ非合併自治体と比べると、合併により隣接自治体との調整なく独自で域外、さらには国に対し積極的な行動を起こせることが明らかになった。

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