日本評価研究
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特集:「エビデンスに基づく政策立案(EBPM)」の現状と課題
国際開発分野におけるEBPMの現状
佐々木 亮
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2020 年 20 巻 2 号 p. 89-103

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抄録

 国際開発分野における「エビデンスに基づく政策立案」(EBPM: Evidence-Based Policy Making)の実践として、インパクト評価(Impact Evaluation)が広く普及している。そこで使われているデザインは最も厳格なデザインであるランダム化比較試験(RCT)である。本稿ではインパクト評価を推進して、評価結果のデータベースを構築して公開している新興の3つの非営利の研究機関について比較して議論する。それらは、貧困アクションラボ(J-PAL:The Abdul Latif Jameel Poverty Action Lab)、IPA(Innovations for Poverty Action)、3ie(International Initiative for Impact Evaluation)である。さらに、伝統的な援助機関(世界銀行、アメリカ国際開発庁(USAID)、イギリス国際開発局(DFID)、日本の国際協力機構(JICA))におけるインパクト評価の現状について概観する。最後に今後の課題について記す。それらは次の通り。(1)50年の時を経て実現に向かう「実験する社会」と今後の課題、(2)「プロジェクト・アイランド」とインパクト評価の対象レベルに関する生来的な問題、(3)業績測定(パフォーマンス・メジャーメント)と評価の混同に起因する問題、(4)NGOsとの協働による介入実施とデータ収集の可能性、(5)IT業界のバックアップによるEBPMの普及と今後の課題である。

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