2021 年 21 巻 1 号 p. 29-40
政府部内で行われる評価のなかでも研究開発評価はとくに難しい。本稿は、なぜ、研究開発評価が難しいのかという問いに向き合うものである。
本稿ではまず、科学技術政策における研究開発評価を踏まえた上で、隣接する他の評価、すなわち政策評価、行政事業レビュー、独立行政法人評価との関係について整理をこころみる。この整理によって明らかとなるのは、各評価制度間の錯綜があること、さらには概念整理が不十分であることなどである。
その上で本稿は、研究開発評価の難点である有効性論議について接近する。本稿がこだわるのは、研究開発をめぐる「トップダウンアプローチ」と「ボトムアップアプローチ」、および‘technology assessment’と‘evaluation’の識別である。
本稿が結論として指摘するのは、研究開発評価における「評価の概念」の曖昧さである。