日本評価研究
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特集:自治体評価の制度設計と評価結果の利用
シン・自治体評価
―形骸化した行政評価からいかに脱皮を図るか―
佐藤 徹
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2024 年 24 巻 2 号 p. 63-77

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抄録

 わが国の自治体において行政評価制度が導入されて、まもなく30年が経過しようとしているが、長らく形骸化が指摘されてきた。本研究では、こうした状況からいかに脱皮を図るかという問題関心から、評価過程にロジックモデルを応用した、職場組織での政策議論を活性化させる方法論を実践し、その有用性を検証した。その結果、次の点が明らかとなった。第1は、評価においてロジックモデルを作成する場合、事業担当者一人で行うよりも、職場組織で議論しながらのほうがよい。第2は、評価過程でロジックモデルを作成することによって、職員が政策の目的と手段、原因と結果の関係性を認識できるようになる。第3は、評価過程で職員が議論しながらロジックモデルを作成することにより、施策における成果が職場組織内で共有化される。第4は、評価過程においてロジックモデルを活用することは、既存事業の見直しや新規事業の立案に有用である。以上を踏まえ、効果的な評価制度への諸論点について論考した。

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