抄録
本稿では、気候変動問題の国際協力に関する評価方法を検討した。第1に、環境政策における政治・法律・経済の社会科学分野を学際的にレビューすることで、気候変動問題の国際協力に関する要素を体系的に結びつけ、評価枠組を設定した。第2に、評価枠組の適用例を交え、評価枠組の有効性と課題を論じた。適用例で研究対象国として日本が関わる国際協力の現状を評価した結果について示し、残されている政策課題を提起した。この適用例の結果から気候変動問題の国際協力を総合的に評価する枠組の有効性について明らかにできた。その一方で、評価枠組を進化させるための課題として、評価枠組の適用例を増やし、評価枠組の構成要素を変更することを挙げた。本稿では、環境政策の方法論的特長である学際性と総合性を定性的な評価枠組として具体化することで、気候変動問題に関する国際協力の評価方法を提案できた。