日本評価研究
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9 巻, 1 号
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総説
  • 上野 宏
    2009 年 9 巻 1 号 p. 1_1-1_18
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    この小論は、途上国公共財政経営(PFM、本文参照)の評価において、制度評価と政策評価が明確に区別されずに、混在して行われている問題を扱っている。これら二つは明確に区分されるべきである、という仮説のもとに、この小論は、既存の4つのPFM評価方法(PFM、PER、パリ宣言の援助効果指標、及びCPIA、であり、これらの内容は本文参照)の成り立ちと現況を正確に把握し、それらを上記の観点から批判的に検討した。その結果、(a)PFM(公共財政経営)評価は、基本的には信託リスクの診断と削減を目的としており、評価対象としては政策内容ではなく制度と執行を対象としていること;(b)PER(公共支出レビュー、即ち公共支出評価、本文参照)は、元々政策評価を主眼としていたが徐々に制度評価を強化してきている、しかし他方では制度ではなく政策内容改善の機能も進展させていること;(c)これら評価方法の背景には、PFMとPERとは一体でありPERはPFM評価方法の一つでしかなく、更に制度評価と執行評価が重要である、という考え方が流れていること;(d)パリ宣言の援助効果指標はPEFA-PMF型の評価方法、即ち制度面の評価方法であること;(e)CPIA評価は、より高度のレベルから政策と制度の両面を評価できる方法として有望であり、その評価結果が援助量をも変化させ得る力を持っていること、を示した。
研究ノート
  • 中島 清隆
    2009 年 9 巻 1 号 p. 1_19-1_29
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    本稿では、気候変動問題の国際協力に関する評価方法を検討した。第1に、環境政策における政治・法律・経済の社会科学分野を学際的にレビューすることで、気候変動問題の国際協力に関する要素を体系的に結びつけ、評価枠組を設定した。第2に、評価枠組の適用例を交え、評価枠組の有効性と課題を論じた。適用例で研究対象国として日本が関わる国際協力の現状を評価した結果について示し、残されている政策課題を提起した。この適用例の結果から気候変動問題の国際協力を総合的に評価する枠組の有効性について明らかにできた。その一方で、評価枠組を進化させるための課題として、評価枠組の適用例を増やし、評価枠組の構成要素を変更することを挙げた。本稿では、環境政策の方法論的特長である学際性と総合性を定性的な評価枠組として具体化することで、気候変動問題に関する国際協力の評価方法を提案できた。
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