日本評価研究
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包括的開発フレームワーク (CDF) の合同評価
ベトナム国別ケーススタディを事例として
西野 桂子
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2003 年 3 巻 1 号 p. 33-42

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抄録
2001年6月~2003年1月にかけて「包括的開発フレームワーク (CDF)」の合同評価が全世界を対象に実施されており、その一環としてベトナム国の調査が実施された。CDFのように実体のない理念の導入状況をどのように評価するか、2001年9月にハノイで初めて顔をあわせたメンバーは、評価フレームの議論に多くの時間を費やした。主な問題点は、(1) CDFが新しい理念ではないこと、(2) CDFは普遍的な理念であること、(3) CDFが実体を伴っていないこと、(4) 達成目標が設定されていないこと、(5) ベトナムではCDFという「文言」が使われていなかったこと、および (6) ベトナムにおけるODAの歴史が浅く、CDF導入以前の状況が確立していなかったこと、であった。CDFという「文言」は使われていなかったが、「CDF流のビジネスのやり方」が、ベトナムのODA環境に影響を与えたことは、調査の結果明らかであった。このような変化が、CDF (あるいはPRSP) の理念に帰結するものか、現地世銀事務所長の個人的な能力によるものか、あるいはベトナムがそうさせたのかの究明は困難であった。
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