2003 年 3 巻 2 号 p. 108-125
日本における政策評価の導入と定着の過程の中で、アメリカでは実績評価 (業績測定) と一対のものとして用いられることが多い「戦略計画」(Strategic Planning) の導入はあまり省みられて来なかった。そのことが逆に、日本において政策評価がスムーズに導入され定着することにつながったと言える一方で、一連の行政改革が目指した理念や目的を達成することに大きな貢献をして来なかったことにつながったと言えるだろう。今後行われる政策評価法の見直し作業においては、事業評価、実績評価、総合評価の3つの手法の横並びを見直し、戦略計画の策定と実績評価のセットでの実施を全省庁で全省的に導入することを求める一方、戦略計画の策定を通じて特定された個別施策の事前の検討と事後の検証のために、事業評価と総合評価が道具として補足的に用いられるという仕組みに変更することが検討されるべきであろう。