抄録
アメリカの「子どもを一人も落ちこぼれにしないための2001年法」(NCLB法) は、教育現場にエビデンスに基づく施策の採用を求めている。エビデンスとして特に重視されるのが、実験デザインを用いた評価研究である。教育省は、評価研究に関する信頼できる情報を提供することを目的に、What WorksClearinghouse (WWC) というウェブサイトを開設した。評価研究の系統的レビューを行い、その結果をエビデンス・レポートとして掲載している。WWCはまだ構築の途上であるが、今後、どのようにコンテンツが充実され、教育現場に採用されていくのか、動向が注目される。
日本の教育界にとっても、エビデンスを重視するNCLB法の発想は示唆的である。わが国でも、信頼性の高い評価研究を蓄積し、系統的レビューを行っていく意義は大きい。