日本評価研究
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都市大気汚染政策における社会的能力の評価
村上 一真松岡 俊二
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2006 年 6 巻 1 号 p. 55-69

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抄録

本研究は、能力の評価基準を実証的に示し、それを能力評価に係るフレームワークに位置づけることで、新たな能力評価手法を提案した。まず、日本の都市の大気汚染政策を対象に、行政の大気汚染政策に係る能力要素として、「科学的知見」の提供能力、「環境政策資源」の運用能力、「直接規制」の遂行能力、「経済的支援」の遂行能力の4つを、因子分析により抽出した。その上で、この能力要素の大気質改善への貢献とウェイトを実証的に確認し、評価すべき能力要素、すなわち、能力の評価基準として示した。以上を踏まえて、政策サイクルにおける能力要素の役割を設定し、能力評価に係るフレームワークを示した。このフレームワークであるアクター・ファクター・マトリクスを用いたアクター・ファクター分析は、UNDPで示されている能力評価手法と比較して、評価基準の体系的な整理、効率的かつ効果的な評価実施、能力形成に向けた適切な政策提案の3点において優位性が指摘できた。

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