抄録
本稿では,再婚率の(1)趨勢,(2)階層差,(3)趨勢変化の階層差に着目して記述的分析を行った.『日本版総合的社会調査(JGSS)』にイベントヒストリーモデルを適用した結果,以下の知見が得られた.第1に,近年の離死別コーホートほど,再婚ハザードは低下している.第2に,男性よりも女性のほうが,低学歴層よりも高学歴層のほうがそれぞれ再婚経験率が高い.第3に,学歴と再婚経験との正の関連は近年の離死別コーホートほど明確に現れており,一方で再婚経験率の性差は縮小傾向にある.
以上を踏まえると,日本社会では「離死別者の非再婚化」が進展しており,未婚化・晩婚化のトレンドとあわせて考えれば,無配偶の状態に滞留するリスクがライフコースを通じて高まっていると推測される.さらに,こうしたライフコースの変化は社会全体で一様に広がっているわけではなく,階層差を伴っている.