2016 年 28 巻 2 号 p. 136-147
本研究では,日本における学歴同類婚の世代間連鎖とその趨勢を検討する.類似した社会的特徴を持つカップルが結婚する同類婚という傾向の中でも,学歴同類婚は開放性指標に加え,不平等拡大に寄与する要因としても注目されている.既存の研究は一世代に限定したときの同類婚に注目していたが,結婚パターンにも世代間の同質性の効果があるという指摘を踏まえ,本研究は世代間関係に着目した上でも,学歴同類婚の傾向が見られるかを時系列的に検討する.複数の社会調査データを統合した計量分析から以下が明らかとなった.第一に,親世代の学歴結合の同質性は子ども世代の同質性と関連を持つ.第二に,学歴同類婚の連鎖はいったん減少し,近年のコーホートで再び増加している.第三に,ログリニアモデルの分析から,周辺度数を考慮したうえでも,同類婚の連鎖は近年強化されている傾向が示され,その要因は中・高学歴の同類婚連鎖の連関が強まったことに求められる.