日本菌学会会報
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日本で再び発見されたLaboulbenia nana
寺田 勝幸
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1999 年 40 巻 3 号 論文ID: jjom.H10-111

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抄録

 クロチビカワゴミムシTachyta nana(甲虫目,オサムシ科,ミズギワゴミムシ亜科,コミズギワゴミムシ族)の虫体上に寄生するラブルベニア菌,Laboulbenia nanaを富山県産の標本で確認した.本菌は1973年に日本で記載された種であるが,それ以後の発見例が少なく,国内では今回が原記載以後初めての記録となる.本菌とその類似種であるL. vulgarisについて形態学的比較を行った.その結果,子嚢殻の色合い,付属体を構成する細胞の形状,隔壁の状態などに両者の相違点を見いだすことができた.比較に用いたL. vulgarisの標本は,Bembidion semiluitumの虫体上から得られたものである.また,本菌の外側付属体の形状については原記載と一致しなかったが,原記載に用いられた標本は,外側付属体の上部が破損した個体を含んでいた可能性が高い.本菌の宿主は今のところクロチビカワゴミムシのみであるが,第2の宿主としてT. umbrosaが追加される可能性のあることを指摘した.

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