日本菌学会会報
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40 巻, 3 号
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追悼文
資料
  • 寺田 勝幸
    1999 年 40 巻 3 号 論文ID: jjom.H10-111
    発行日: 1999年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

     クロチビカワゴミムシTachyta nana(甲虫目,オサムシ科,ミズギワゴミムシ亜科,コミズギワゴミムシ族)の虫体上に寄生するラブルベニア菌,Laboulbenia nanaを富山県産の標本で確認した.本菌は1973年に日本で記載された種であるが,それ以後の発見例が少なく,国内では今回が原記載以後初めての記録となる.本菌とその類似種であるL. vulgarisについて形態学的比較を行った.その結果,子嚢殻の色合い,付属体を構成する細胞の形状,隔壁の状態などに両者の相違点を見いだすことができた.比較に用いたL. vulgarisの標本は,Bembidion semiluitumの虫体上から得られたものである.また,本菌の外側付属体の形状については原記載と一致しなかったが,原記載に用いられた標本は,外側付属体の上部が破損した個体を含んでいた可能性が高い.本菌の宿主は今のところクロチビカワゴミムシのみであるが,第2の宿主としてT. umbrosaが追加される可能性のあることを指摘した.

  • 富樫 巌, 宜寿次 盛生, 原田 陽
    1999 年 40 巻 3 号 論文ID: jjom.H10-115
    発行日: 1999年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

     ニンジンジュースを製造した際に排出されるニンジン搾りかすを培地材料に用い,2菌株のA. ostoyae(HFP-Am 82-10と同82-14)の栽培を試みた.その結果,ニンジン搾りかすの水分の上昇と共に根状菌糸束の形成および培地への根状菌糸束の蔓延が促進され,ニンジン搾りかすの水分含量は,少なくとも70%程度以上(pF : 1.5以下)が望ましいと判断された.さらに,ニンジン搾りかすに米ぬかまたはフスマを適量添加することで子実体の生産効率が改善され,培地水分が75%の場合の米ぬかとフスマの適正な添加率(培地総重量に対する絶乾重量換算値)は4.5~12.5%と6.0~9.0%であった.これにより,60日程度の栽培期間で培地重量の20~40%の子実体収量が得られた.

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