2019 年 60 巻 1 号 p. 7-13
ヒラドツツジの生葉表面から分離されたMonochaetia monochaeta NBRC 33068は,寒天培地上で二次分生子様構造を形成し,培養初期のコロニーの一部は湿性,粘質状で酵母状を呈した.単一分生子および二次分生子様構造を用いた培養試験において,それらは発芽後菌糸を伸長する一方で二次分生子様構造を多数形成した.培養初期には円筒形から紡錘形の構造が認められたが,その後分枝状あるいは不定形の構造も観察され,それらには隔壁の形成も認められた.これらの構造はM. luteaで認められている二次分生子と類似した.Monochaetia monochaeta NBRC 33068で認められた二次分生子様構造は,接種試験によりヒラドツツジ葉上においてもその形成が認められた.これらの⼆次分⽣⼦様構造の形成は,宿主植物へ感染した後に分⽣⼦果および分⽣⼦を形成する分⽣⼦果不完全菌類において重要な分散戦略と考えられる.