2020 年 61 巻 2 号 p. 91-101
加熱加工食品の耐熱性カビによる変敗が増加する中で,カビの発生した国産麺類・パスタ製品から度々Penicillium様の菌が検出された.形態を精査したところ,オーストラリアで加熱加工品から報告されている耐熱性菌P. oblatum,P. sabulosumに形態が類似していた.そこで麺類・パスタ事故品から分離した6菌株と上記の2種のタイプ由来株を菌学的に比較するため,rDNA ITS,β-tubulin,calmodulin遺伝子の部分塩基配列の系統解析を行い,形態と併せ遺伝子型を検討した結果,分離菌株とこの2種はEurotiales目Rasamsonia属に分類されることが判明した.よって本報では,新組み合わせとしてRasamsonia oblata (Pitt & Hocking) Yanai & Udagawa, R. sabulosa (Pitt & Hocking) Yanai & Udagawaを提案した.