2023 年 64 巻 2 号 p. 67-77
長野県の亜高山帯針広混交林で得た標本について,形態比較ならびに分子系統解析によって,アメリカを基準産地とするRussula granulataと認め,日本新産種として報告する.子実体は中型,傘は灰色を帯びた橙色から赤味を帯びた褐色,表面に強い粘性を有し,中央部は黄色を帯びた赤色から赤味を帯びた褐色,柄は触れると中・下部が淡褐色に変色する.核rDNAの分子系統解析によって,日本産と北アメリカ大陸およびユーラシア大陸産R. granulataは単系統群をなした.本種の和名をヌメリクサハツモドキとする.