音楽教育学
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研究報告
三味線演奏時における棹の角度の研究
志水 照匡
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2010 年 40 巻 2 号 p. 1-12

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抄録

 本稿は, 三味線演奏時における演奏者の棹の角度を研究するものである。343名の演奏者を分析したところ, 平均値は32度, 最頻値は33度, 標準偏差は3.7で, 度数分布曲線は最頻値33度を頂点とする釣鐘型の対称分布であることが明らかになった。

 さらにF検定を用いて, 長唄と他の種目との検定を行った。その結果, 長唄の母分散と等しいのは一中節, 義太夫節, 清元節, 小唄, 座敷唄, 地歌, 新内節, 創作曲, 端唄, 宮薗節で, 等しくないのは上方唄, 常磐津節, 民謡となった。そしてF検定の結果をもとにt検定を行った結果, 母平均が長唄と等しいのは上方唄, 義太夫節, 清元節, 小唄, 座敷唄, 地歌, 新内節, 創作曲, 常磐津節, 宮薗節, 民謡で, 等しくないのは一中節と端唄となった。性別に関しては, 男女間で母分散は異なるが, 母平均は等しい。また, 棹の角度は服装, 座り方, 演奏方法の違いで大きな影響を受けるわけではない。

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© 2010 日本音楽教育学会
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