音楽教育学
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研究論文
林光の音楽教育論
─ 教研集会講師としての活動に焦点を当てて ─
山本 耕平
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2019 年 49 巻 1 号 p. 25-36

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抄録

 本研究は, 作曲家の林光 (1931~2012) が日本教職員組合主催の教育研究全国集会に講師として参加していた1960年代後半から1970年代を中心に取り上げ, 彼の音楽教育論を明らかにすることを目的とする。林は1950年代にうたごえ運動や労音などの社会運動と積極的に関わる中で, 「民衆芸術論」の実践をこれらの社会運動に見出していた。そして後に彼は1968年から教育研究全国集会に講師として参加し, 民衆芸術論を基に「歌うことを中心とした音楽教育」を構想した。歌曲の教材選択について林は教科書にこだわらず子どもたちが生き生きと歌えるものを選ぶべきだと考えていた。そして教師の伴奏については, 楽譜通りに弾くことよりもむしろ教師の持てる技術の中で子どもの歌声を引き出すことを重視していた。林の音楽教育論とは, 知識や技術を重視する傾向にあった当時の音楽教育に対し, 子どもが主体的に音楽を楽しむ中で人間的に成長していくことを目指すものであった。

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© 2019 日本音楽教育学会
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