2023 年 31 巻 3 号 p. 138-142
職業人が抱える様々な困難から立ち直る方法の1つとして,セルフ・コンパッションが注目されている.セルフ・コンパッションとは,困難な状況に陥ったとき,自分の感情にバランスよく気づき,そうした経験が他者と共有していることを認識し,自分に優しい気持ちを向けることであり,コンパッションに基づく介入法で高められることが実証されている.その基本的な技法にはマインドフルネス瞑想や慈悲の瞑想があり,その他の技法も含めたプログラムを5–10週程度継続して実践することで,ウェルビーイングの向上が期待できる.ただし,セルフ・コンパッションを涵養するためにはプログラム中指導者との継続的なやりとりが必要で,職場での活用は今後の課題となっている.