産業精神保健
Online ISSN : 2758-1101
Print ISSN : 1340-2862
31 巻, 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
特集 職場での適用が期待される心理社会的介入の数々
  • 佐渡 充洋
    原稿種別: 特集
    2023 年 31 巻 3 号 p. 115-116
    発行日: 2023/09/20
    公開日: 2023/09/20
    ジャーナル フリー
  • 大野 裕
    原稿種別: 特集
    2023 年 31 巻 3 号 p. 117-120
    発行日: 2023/09/20
    公開日: 2023/09/20
    ジャーナル フリー
  • 山田 成志, 佐渡 充洋
    原稿種別: 特集
    2023 年 31 巻 3 号 p. 121-126
    発行日: 2023/09/20
    公開日: 2023/09/20
    ジャーナル フリー

    職域におけるメンタルヘルス対策の必要性が高まっている中,うつ病の再発予防効果や健常人におけるストレス低減効果が実証されているマインドフルネスプログラムは,職域での活用が期待される心理社会的介入の有力候補である.職域での実践例として,プログラムを短縮し実施ハードルを下げたマインドフルネスプログラムの効果検証研究と,マインドフルネスに関心がない対象者にも受け入れやすい形に改変し受容ハードルを下げた研修プログラムの実践の2つを紹介した.また,職域適応の課題について,強度の軽減されたプログラムの効果検証,対人関係や組織風土などについても効果の評価を行うこと,フォローアップやアプリなどのプログラム以外の要素を有効に活用することを挙げた.

  • 伊井 俊貴
    原稿種別: 特集
    2023 年 31 巻 3 号 p. 127-131
    発行日: 2023/09/20
    公開日: 2023/09/20
    ジャーナル フリー

    アクセプタンス&コミットメント・セラピー(Acceptance & Commitment Therapy: ACT)は心理的柔軟性を高めるための心理社会的介入であり,不安や落ち込みを受容する「アクセプタンス」,思考を客観的に観察する「脱フュージョン」,価値に従って行動する「コミットメント」などの6つのコアプロセスで構成される.ACTは疾患の治療を目的とせず,特定のマニュアルに縛られない手法であり,行動変容に効果的なエビデンスがある.ACTは職場においても活用でき,従業員の心理的柔軟性を高め,生産性を向上させることが可能である.ただし,職場の文脈や組織の状態にも注意が必要であり,個人だけでなく組織やチームの影響も考慮する必要がある.ACTの活用により,組織やチームの生産性を向上させ,労働生産性の低下を解決する可能性がある.

  • ―ワーク・エンゲイジメントに注目して―
    島津 明人
    原稿種別: 特集
    2023 年 31 巻 3 号 p. 132-137
    発行日: 2023/09/20
    公開日: 2023/09/20
    ジャーナル フリー

    本稿では,職場のメンタルヘルス対策における心理社会的介入について,特にポジティブ心理学にもとづく介入に言及した.具体的には,近年,こころの健康のポジティブな側面として注目されているワーク・エンゲイジメントに焦点を当て,概念提唱の背景,支援の科学的根拠,支援の考え方,支援の実際について紹介した.本稿の内容が,ワーク・エンゲイジメントに関する支援だけでなく,職場での心理社会的介入におけるポジティブ心理学の活用のさらなる発展につながれば幸いである.

  • 有光 興記
    原稿種別: 特集
    2023 年 31 巻 3 号 p. 138-142
    発行日: 2023/09/20
    公開日: 2023/09/20
    ジャーナル フリー

    職業人が抱える様々な困難から立ち直る方法の1つとして,セルフ・コンパッションが注目されている.セルフ・コンパッションとは,困難な状況に陥ったとき,自分の感情にバランスよく気づき,そうした経験が他者と共有していることを認識し,自分に優しい気持ちを向けることであり,コンパッションに基づく介入法で高められることが実証されている.その基本的な技法にはマインドフルネス瞑想や慈悲の瞑想があり,その他の技法も含めたプログラムを5–10週程度継続して実践することで,ウェルビーイングの向上が期待できる.ただし,セルフ・コンパッションを涵養するためにはプログラム中指導者との継続的なやりとりが必要で,職場での活用は今後の課題となっている.

  • 新村 秀人
    原稿種別: 特集
    2023 年 31 巻 3 号 p. 143-147
    発行日: 2023/09/20
    公開日: 2023/09/20
    ジャーナル フリー

    森田療法は,不安・心気・強迫に悩む人に広く適応できる精神療法である.「べき」思考の持ち主は,コントロールできない対象(感情,症状,人間関係,仕事)をコントロールしようとして対象にとらわれ(悪循環),生の欲求が生活に発揮されない.そこで,①対象のコントロールをあきらめ,事実を受け入れること(体験処方)と,②生活で実施可能な行動を促すこと(行動処方)を同時に行い,症状を持ちこたえながら,生活での体験をふくらませていく.すると,本来の欲求が自覚され,「べき」思考が背景に退き,仕事の進め方や人間関係が円滑になる.産業精神保健における森田療法の実践ポイントとして,(1)症状を生活の中でつかむ,(2)そのまま感じる,(3)「できないこと」と「できること」を分ける,(4)作業の進め方,(5)休養をとる,(6)働き方を見直す,を示した.また,森田療法を学ぶ方法について述べた.産業精神保健への森田療法の活用が期待される.

  • 有馬 秀晃
    原稿種別: 特集
    2023 年 31 巻 3 号 p. 148-155
    発行日: 2023/09/20
    公開日: 2023/09/20
    ジャーナル フリー

    医療機関における復職支援の取り組みであるリワークプログラム(Re-Work program)は,その目的は「単に復職を果たす」ことではなく「復職後,再発なく就労を継続できること」にあり,Return to workよりもさらに踏み込んだRecovery through workのためのResilience buildingにあると言える.つまり,リワークは単に職場に戻るということを越えた,ライフキャリアを全うするための支援なのである.当クリニックのリワークでは,NIOSH Job-Stress Modelと認知行動療法CBTを組み合わせたオリジナルの再発予防シートを作成している.このなかで,NIOSH Job-Stress Modelにある個人的因子をCBTでいう「認知(考え方のクセ)」を中心に扱っているという特徴がある.そして,復職した後はリワークフォローアッププログラム(毎週土曜日開催)にご参加いただき,自己分析仕様書を手に初心を忘れずに日々のストレスに対処して週明けの月曜日にはリフレッシュした状態で出勤をするという取り組みを行っている.

総説
  • 小森 國寿, 大塚 泰正
    原稿種別: 総説
    2023 年 31 巻 3 号 p. 156-165
    発行日: 2023/09/20
    公開日: 2023/09/20
    ジャーナル フリー

    トラウマ体験をした後に経験されるポジティブな心理的変容である心的外傷後成長(Posttraumatic Growth: PTG)は,トラウマ体験で崩れた世界観を書き換える認知プロセスの副産物として得られる.この認知プロセスの促進要因は,当事者の社会的状況との組み合わせにより理解・解釈され,新たな認知的枠組みに組み込まれるため,軍人等においても独自の特徴があると考えられる.軍人等のPTGの促進要因に関する17件の文献を整理した結果,属性,苦痛・症状,ポジティブな文脈,個人の内面的性質およびネガティブな文脈の5つがPTGの促進要因となることが示唆された.軍人等のPTGを促進するためには,軍隊等における価値観を理解しようとする環境を整えて自発的な自己開示を促したり,逆境に意味を見出そうとする資源を増やしたりすることが有効である可能性が示唆された.

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