2023 年 31 巻 4 号 p. 184-188
精神障害者の雇用者数は,他の障害種と比較しても増加傾向ではあるが,離職率の高さが報告されており,就職後の職場適応支援が重要である.ジョブコーチとは職場適応援助者とも言い,実際の職場で働く障害者(特に重度障害者)を直接的・間接的・継続的に援助する.基本的には実際の職場で,障害者にわかりやすい作業手順を示し,他の職場仲間との作業や人間関係を調整し,本人の職場適応と就労自立を必要なだけ支援し,職場仲間による自然な形の支援「ナチュラルサポート」へ展開する役割を担っている.精神障害者へのジョブコーチ支援では,疾病性にも配慮しつつ個別性へ配慮した支援が重要である.これは個人の特性に留まらず,精神障害者を取り巻く環境因子についても同様であり,細やかな支援の実践が求められる.精神障害者のリカバリーを実現し,社会の発展のためにも,ジョブコーチの更なる活躍に期待したい.