産業精神保健
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シンポジウム10 過労死等事案の医学研究
シンポジウム10(大会事務局企画)過労死等事案の医学研究
高橋 正也 北島 洋樹
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2024 年 32 巻 1 号 p. 143-146

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抄録

平成26年11月に施行された過労死等防止対策推進法は過労死等に関する調査研究を通じて実態を明らかにし,適切な対策を講ずることを定めている.その元資料となるのが過労死等として労災申請された事案である.この事案解析は労働安全衛生総合研究所の過労死等防止調査研究センターが担っている.本シンポジウムでは,精神障害事案について以下の解析結果を報告し議論した:①精神障害の過労死等事案における業種別経年変化,②過労自殺事案における長時間労働や医療機関への受診状況,③長時間労働等の過重労働と精神障害.総合討論では,過労死等事案の持つ限界,通勤時間の影響,ストレスチェック結果の利活用,長時間労働の新たな定義案などについて質疑応答があった.過労死等は労働者と職場との相互作用の望ましくない結末であるとすれば,その関係性を最適にする努力がこれから更に求められると確認できた.

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© 2024 一般社団法人 日本産業精神保健学会
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