2025 年 33 巻 3 号 p. 191-195
孤独感は,精神的問題のリスク要因であり,身体的健康にも関連する.特に,職場における孤独は,モチベーションや生産性の低下,組織への帰属意識の低下といった,労働パフォーマンスにも悪影響を及ぼす.認知再構成法などの認知行動療法に基づくアプローチは孤独感の低減に有効であることが示されており,最近ではインターネットを介した介入も試みられている.そこで我々は,インターネットを介した自己学習型の孤立・孤独への介入プログラムを開発した.これは,迷走神経を刺激するためのペース呼吸,教材の学習,記入型の課題を,週1回,計4回行う内容である.労働者44名を対象とした検証研究の結果,このプログラムは孤独感の低減,精神的健康の改善に有効であることが示唆された.その背後に想定されるメカニズムと今後の課題について考察した.