抄録
口腔水分計を用いた口腔粘膜湿潤度測定においてより誤差の少ない測定方法を決定するために実験的検討を行った。実験1として唾液分泌低下を認めない健常者7名に対し口腔粘膜湿潤度を定時に連続7日間測定しcosinor法を用いて解析を行った。相関係数は舌で0.01~0.35,頬粘膜で0.01~0.54であり明らかに日内変動に規則性があるとはいえなかった。実験2として口腔粘膜湿潤度に影響をおよぼすと考えられた5条件で舌および頬粘膜湿潤度を測定し時間的変動についてFriedman検定およびDunnettの多重比較検定を用いて統計分析を行った。すべての条件において施行前湿潤度と施行5分後湿潤度に有意差は認めなかった。口腔水分計を用いて唾液分泌低下を認めない健常者の舌および頬粘膜湿潤度を測定する際は被測定者に5分間程度の身体的・精神的安静状態を設定することにより,より再現性のある測定値をえられると考えた。