1998 年 4 巻 1 号 p. 63-68
本研究では, in vivo と in vitro において口腔組織由来上皮のp21/waf-1の発現様式を明らかにすることを目的とした。ラットの舌粘膜上皮のwaf-1の発現を検索するために, 抗waf与1抗体を用いた蛍光抗体法と in situ hybridization を行った。培養細胞には, マラッセ上皮細胞を用い, 分化を誘導するために低カルシウム状態で培養を行った後, 高カルシウム状態に変え培養を行い, 両者におけるwaf-1の発現を Northern blot 法により検索した。waf-1の発現は口腔上皮の有棘層上層から角質層直下に観察された。培養系では高カルシウム状態で培養を行ったものでwaf-1の up-regulation が観察された。以上のことからwaf-1は口腔上皮の分化に関与していることが示唆された。