白板症67症例についてG1サイクリン (サイクリンD, E) およびサイクリン依存性キナーゼ (CDK2, 4) の発現を免疫組織化学的に検討し, 上皮異形成との関連を検討した。さらに, TUNEL法によってアポトーシスと上皮異形成との関連についても検討した。その結果, G1サイクリン, CDKともに正常粘膜上皮では主として基底細胞に発現がみられたのに対し, 白板症ではより広範囲の細胞にその存在が認められた。また, それぞれの陽性率も, 中等度, 高度の上皮異形成を示す白板症で正常粘膜上皮および軽度上皮異形成を示す白板症に比べて有意に高値を示した。TUNEL法での陽性細胞は, 正常粘膜上皮でもっとも多く, 上皮異形成の程度が強くなるほど減少する傾向がみられた。
以上の結果から,白板症で上皮異形成が強くなるとG1サイクリン, CDKともに過剰発現しており, 細胞増殖を促すことによって癌化に関与している可能性が示唆された。
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