抄録
口腔扁平苔癬 (OLP) は口腔粘膜に発生する慢性炎症性疾患で, 今なおその病因・病態が明らかにされていない。今回われわれは, 口腔粘膜にあるギャップ結合を構成するコネキシンに作用し, 細胞間のコミュニケーションを増強する働きをもつマレイン酸イルソグラジン (irsogladine maleate; 以下IM) の口腔扁平苔癬対する臨床的効果の検討を行い以下の結果を得た。対象は18例で, 女性が66.7%と多く, 発症年齢は50~69歳で70%以上であった。発症部位は頬粘膜が最も多く, 次に歯肉, 口唇, 舌であった。自覚症状の改善は13/18 (72.2%), 肉眼的改善度は10/18 (55.6%) であり, 臨床視診型では網状型の症例で高い有効率が得られた。