日本口腔顔面痛学会雑誌
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症例報告
外傷後数年経過した右側三叉神経(第2枝)ニューロパチーに対する治療の一例
栗栖 諒子山﨑 陽子冨永 光莉楠 英将井村 紘子坂元 麻弥前田 茂
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2025 年 17 巻 1 号 p. 35-39

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抄録
症例の概要:患者は63歳女性,主訴は右顔面の痛みとしびれであった.X−2年に転倒して右眼窩を骨折した.徐々に触れるとずきんずきんと鋭い痛みが出現するようになった.痛みが続くためX年6月に東京医科歯科大学病院(現東京科学大学病院)歯科ペインクリニックを受診した.症状の発現部位が右側三叉神経第2枝領域であり,痛覚過敏やアロディニアなどの神経障害の特徴的な症状の発現,精密触覚機能検査結果より右側三叉神経ニューロパチー(第2枝)と診断した.
考察:長期的なビタミンB12製剤の使用と近赤外線治療により,発症から長期経過した眼窩下神経の三叉神経ニューロパチーの症例で痛みや異常感覚の軽減がみられた.
結論:眼窩下神経領域の外傷後三叉神経障害性疼痛の治療としては開始時期が遅くとも薬物療法や物理療法を行うことで不快症状の軽減が得られる可能性が示唆された.
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