作業科学研究
Online ISSN : 2434-4176
Print ISSN : 1882-4234
日本作業科学研究会第26回学術大会佐藤剛記念講演
人と地域をつくる作業の記録と対話
高木 雅之
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2024 年 18 巻 1 号 p. 1-9

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抄録
本論の目的は,作業経験を共有することの意味や効果を考察することである.まず,記録と対話を用いて作業経験を共有したことにより,作業的アイデンティティが表現され,生活や健康に好影響が生じた事例について述べる.次に,地域在住の健康な高齢者に対する集団プログラムに関する研究結果から,作業経験の共有の効果について考察する.作業経験の共有は個人の健康関連 QOL や生活満足度,人生の意味を高めると考えられる.この効果は,人と人をつなげ,個人を社会的,精神的によい状態にする作用が作業経験の共有にはあるためだと推測される.さらに,作業経験の共有には相互理解と連帯感を生み出し,インクルーシブなコミュニティを形成する効果が期待できる.最後に,作業経験の共有を個人やコミュニティを変化させる手段としてだけでなく,目的や権利として捉え,作業経験を共有する機会が豊かな社会をつくる必要性について言及する.
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© 2024 日本作業科学研究会
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