薬剤疫学
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原著
禁煙治療の経済評価
安田 浩美池田 俊也
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2009 年 14 巻 2 号 p. 61-68

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抄録

目的】国内で実施されている禁煙治療の費用対効果を検討することを目的とした。 無治療群、薬局で購入したニコチンガム群、薬局で購入したニコチンパッチ群、保険診療下ニコチンパッチ使用群、保険診療下のブプロピオン使用群の5群を比較した。
デザイン】マルコフモデルスタディ
方法】男女30歳·40歳·50歳の禁煙コホートをマルコフモデルにて試算した。薬物療法によって得られた生存年あたりのコストを主要なアウトカムとした。薬局購入した薬剤費、処方薬による治療費を禁煙治療費とした。生存年は年率3%で現在価値に割引した。禁煙成功率について感度分析を実施した。
結果】無治療に比較した一生存年あたりの増分費用は、薬局パッチは男性で518,826円~ 652,282円、女性で351,317円~ 725,109円、薬局ガムは男性で871,442円~ 1,205,142円、女性で592,558円~ 1,282,263円、保険パッチは男性で504,373円~ 603,371円、女性で340,734円~685,626円、保険ブプロピオンは男性で562,564円~ 670,768円、女性で379,960円~ 763,283円であつた。感度分析において、禁煙成功率の変更は、費用対効果に強い影響を示した。
結論】国内で実施されている薬物療法による禁煙治療は、無治療の場合と比較し、どの薬物療法も許容範囲内にあるものの薬局パッチ群、保険パッチ群が費用対効果がよい禁煙治療であると考えられた。

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© 2009 日本薬剤疫学会
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