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薬剤疫学
Vol. 17 (2012-2013) No. 2 p. 87-97

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http://doi.org/10.3820/jjpe.17.87

資料

医薬品の副作用の自発報告制度は副作用を経験した患者の情報を収集し,医薬品と副作用との因果関係の仮説をたてるきっかけとなるが,患者群の背景や副作用が発現しなかった患者群の情報が無いため,リスクを定量的・相対的に比較するのは困難である.くすりの適正使用協議会では,これらの課題に対して自発報告制度を補完しうる薬剤疫学の活用という観点から,医薬品の再審査制度下で実施された使用成績調査等のデータを二次利用したデータベース構築を推進することとした.製薬企業から降圧剤使用患者群の観察データを有する使用成績調査の情報の提供を受け,これらを統合し,2003 年に 10 万人(降圧剤 19 製剤)を超えるデータベースを構築した.このデータベースを管理維持し, 2007 年に 143,509 人(21 製剤)の患者データを有するまで拡張するとともに,2011 年には 約 3.4 万人の患者データを集積した高脂血症用剤のデータベースを構築した.これらのデータベースは,当協議会の規定に基づく利用申請とプロトコル審査を経て,研究者に利用されている.またその成果は,学会発表や論文として公表されている.本報告では,データ収集およびデータベース管理の観点から,使用成績調査等におけるデータ収集およびそれを裏付けする制度について総括し,例として,高脂血症用剤データベースの構築プロセスおよび概要について患者背景とともに紹介する.使用成績調査等を統合したデータベースの特徴は,患者背景,投与薬剤に加えて副作用情報と治療に関する臨床検査値を有することであるが,規模が小さいため稀な副作用の研究は困難である.また,長期間の観察データが少ないことなどが研究の限界となっている.2012 年度は,長期観察データを含むデータ集積を推進し降圧剤のデータベース拡張を行っている.(薬剤疫学 2012; 17(2): 87-97)

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