医薬品リスク管理計画は,医薬品医療機器総合機構ホームページにて「開発の段階から製造販売後に至るまで」と述べられるように,その医薬品の Lifecycle 全体に及ぶものである.2012年4月の「医薬品リスク管理計画指針について」通知により,日本にもようやく公的に市販後リスクマネジメントが開始され,整備されつつある現在,承認された新薬の安全性リスク管理計画書が多数公開されるようになった.その一方で,リスク管理計画書に示す安全性検討事項の大部分を決定するためのエビデンスを形成する非臨床および臨床データは,承認前の開発時安全性評価を通じて得られるにもかかわらず,日本で開発段階における安全性データの収集,評価過程に焦点を当てた議論はいまだ稀少である.本稿では,CIOMS WG VI 報告書 “Management of Safety Information from Clinical Trials”,および米国研究製薬工業団体 The Safety Planning,Evaluation,and Reporting Team からなされた提案を取り上げ,開発段階における系統的な安全性評価について概説する.