薬剤疫学
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企画/リスク最小化策の評価
3.レブラミド® ・ポマリスト® 適正管理手順 (RevMate®)の改定と今後の課題
北川 祥賢高野 有紀子伊藤 正人勝又 浩美森 さわ
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2017 年 22 巻 1 号 p. 19-28

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抄録

サリドマイドの誘導体である抗悪性腫瘍剤のレナリドミド水和物 (レブラミド®) 及びポマリドミド (ポマリスト® ) の妊婦への曝露を防止するための適正管理手順の RevMate® (レブラミド® ・ポマリスト®) 適正管理手順)が 2015 年に行政当局からの指示により改定され,2016 年 4 月から RevMate® (ver 5.0) 運用が開始された.この改定により会社は,登録される患者の氏名を入手せず,患者情報に関しては病院側の管理があわせて必要となった.また,サリドマイド製剤の管理手順(TERMS®)で用いられる様式で目的が同じものについては,様式の名前と確認項目の表記に関し,統一が図られた.さらに,患者の理解度に応じた対応についても可能となった.この改定で,従来会社に郵送されていた⌈定期確認票⌋が病院への提出と保管になり,会社として,⌈遵守状況確認票⌋と本様式が医療機関で適切に保管されていることを定期的に訪問し確認することが必要になった.その初回の調査確認の結果,⌈定期確認票⌋では患者による持参忘れが 1 割弱の頻度で認められた.このことから,本票の回収に関して改善が必要と考えられた.さらに,入院時に別の患者にレブラミド® が誤投与される事例が 2016 年に 4 件発生した.これを防止するため,2017 年 2 月に RevMate® (ver 5.1) として入院患者の薬剤管理の項を設け,さらにレブラミド® で新たな適応が追加され,2017 年 3 月より RevMate® (ver 5.2) の運用が開始された.RevMate® が妊婦への薬剤曝露防止のために厳密な⌈リスク最小化活動⌋ として継続的に適切に実施されていくためには,今後も実運用で認めた課題を一つひとつ解決し,当社社員に対しサリドマイドの薬害教育を実施するなど,初心を忘れず,慣れから来る不徹底並びに手順の不遵守がないよう本手順に関わる患者,患者家族,医療関係者等の方々にご理解,ご協力を賜りながら,今後も会社として継続して努力することが重要であると考えている.

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© 2017 日本薬剤疫学会
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