薬剤疫学
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企画/自発報告データベース活用の可能性と留意点
1.自発報告データベースとケース・コントロール研究
久保田 潔
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2020 年 25 巻 2 号 p. 56-63

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抄録

自発報告データベースの reporting odds ratio (ROR) とケース・コントロール研究との関係を解説する.

死亡登録データにおける proportional mortality studies で得られる proportional mortality ratio (PMR) はコホート研究のリスク比 (risk ratio,RR) とみなすことはできないが,研究対象の曝露と無関係と考えられる死亡を 「コントロール」 として得られる mortality odds ratio (MOR) は RR に等しくなることが期待され,死亡登録データから MOR を求める研究はケース・コントロール研究とみなすことができる. Rothman らは 2004 年,自発報告データベース研究でも同様に適切な ‘control events’ を見出すことにより,コホート研究の RR を,ROR として求める可能性に言及した.しかし,この提案にそって日本で実施された 20 の ‘control events’ から得た ROR と,多数の 「使用成績調査」から求めた RR の比較では,RR と ROR の関係が大きくバラつくことが報告された.

本稿の著者は,ケース・コントロール研究は 「ケースを生み出したソース集団において実施するコホート研究の相対リスクを求めようとする研究」 でなければならず,自発報告データベースから ROR を求める研究をケース・コントロール研究とみなすことはできないと結論する.

自発報告データベースの ROR など 「不比例性の指標」 は一義的にはシグナル検出のための指標である.しかし,自発報告データはシグナル検出以外に,副作用の特徴づけ,因果関係の判断などにも貢献しうる.また,シグナル検出の方法論自体も進化しつつあり,今後のわが国の研究者の当該研究領域への貢献を期待したい.

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© 2020 日本薬剤疫学会
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