薬剤疫学
Online ISSN : 1882-790X
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25 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著
  • Jia GUAN, Shiro TANAKA, Shuhei YAMADA, Izumi SATO, Koji KAWAKAMI
    原稿種別: research-article
    2020 年 25 巻 2 号 p. 43-53
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    [早期公開] 公開日: 2020/07/15
    ジャーナル フリー

    Objective: To describe the treatment patterns and time to next treatment (TTNT) in newly diagnosed multiple myeloma patients (MM) using a large-scale claims database in Japan.

    Design: Cohort study

    Methods: The patients with newly diagnosed MM from 2008 to 2015 were classified into two groups: age <65 years, and age ≥65 years. Specific regimens and general regimens were identified with a complex algorithm considering interval of no therapy, additional and discontinued agents. Correspondingly, TTNT between the first- and second-line were measured among non-transplant patients with Kaplan-Meier method.

    Results: A total of 425 patients were eligible to participate in the analysis. The most common regimen for the treatment of MM was bortezomib-based regimens (52.9% in the first-line, 28.2% in later lines), followed by melphalan-prednisolone (27.1% in the first-line, 12.9% in later lines) and lenalidomide-based regimens (4.7% in the first-line, 26.1% in later lines). TTNT between the first- and second-line was 11.4 months and was seen to vary greatly with each regimen. A statistically longer TTNT was observed in subgroups of patients aged 65 years or over compared with patients aged younger than 65 years, but no statistical difference was found between conventional therapy and novel therapy.

    Conclusion: Based on the data from the study, patients with MM were commonly treated with novel agent-based regimens, especially bortezomib-based regimens. Between the first- and second-line therapies a relatively short TTNT was observed, indicating that therapies in clinical practice poorly complied with treatment guidelines.

企画/自発報告データベース活用の可能性と留意点
  • 鍵村 達夫
    原稿種別: その他
    2020 年 25 巻 2 号 p. 55
    発行日: 2020/10/25
    公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー
  • 久保田 潔
    原稿種別: 論説
    2020 年 25 巻 2 号 p. 56-63
    発行日: 2020/10/25
    公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー

    自発報告データベースの reporting odds ratio (ROR) とケース・コントロール研究との関係を解説する.

    死亡登録データにおける proportional mortality studies で得られる proportional mortality ratio (PMR) はコホート研究のリスク比 (risk ratio,RR) とみなすことはできないが,研究対象の曝露と無関係と考えられる死亡を 「コントロール」 として得られる mortality odds ratio (MOR) は RR に等しくなることが期待され,死亡登録データから MOR を求める研究はケース・コントロール研究とみなすことができる. Rothman らは 2004 年,自発報告データベース研究でも同様に適切な ‘control events’ を見出すことにより,コホート研究の RR を,ROR として求める可能性に言及した.しかし,この提案にそって日本で実施された 20 の ‘control events’ から得た ROR と,多数の 「使用成績調査」から求めた RR の比較では,RR と ROR の関係が大きくバラつくことが報告された.

    本稿の著者は,ケース・コントロール研究は 「ケースを生み出したソース集団において実施するコホート研究の相対リスクを求めようとする研究」 でなければならず,自発報告データベースから ROR を求める研究をケース・コントロール研究とみなすことはできないと結論する.

    自発報告データベースの ROR など 「不比例性の指標」 は一義的にはシグナル検出のための指標である.しかし,自発報告データはシグナル検出以外に,副作用の特徴づけ,因果関係の判断などにも貢献しうる.また,シグナル検出の方法論自体も進化しつつあり,今後のわが国の研究者の当該研究領域への貢献を期待したい.

  • 酒井 隆全
    原稿種別: 論説
    2020 年 25 巻 2 号 p. 64-73
    発行日: 2020/10/25
    公開日: 2020/11/30
    ジャーナル フリー

    自発報告は市販後の医薬品安全性監視において重要な情報源である.日本では 2012 年に Japanese Adverse Drug Event Report database (JADER) が公開されており,以来,データマイニング手法を用いた数多くの学会発表,論文投稿が行われている.自発報告は,一般的に過少報告,分母情報の欠如,報告バイアスの影響など種々の限界点を有しており,これらは JADER にも当てはまる.また,JADER では主に重篤な症例が集積されていることや,依頼に基づく報告も含まれていることなど,自発報告が収集されている制度的背景も影響をもたらす.統計学的に検出されたシグナルは必ずしも医薬品と有害事象に因果関係があることを意味するものではなく,検出されたシグナルには慎重な解釈が必要となる.しかしながら,留意すべき限界点について考えずに用いられているという指摘の声があがっている.

    企業の医薬品安全性監視活動におけるシグナルの取扱いについては,EU における Guideline on Good Pharmacovigilance Practices (GVP) Module Ⅸ,米国における Guidance for Industry - Good Pharmacovigilance Practices and Pharmacoepidemiologic Assessment などが参考となる資料として存在している.一方,研究者が自発報告データベースを利用して得られた科学的知見を報告する際に向けたガイダンスなどはほとんど整備されていない.そこで,我々は主に JADER を用いて研究発表を行う研究者の視点から,一般社団法人 日本医薬品情報学会 平成29年度課題研究班において「JADER を用いたデータマイニング (主に不均衡分析によるシグナル検出) の研究発表の際に留意すべきチェックリスト」を作成した.本稿では,このチェックリストの項目について,チェックリスト作成にあたり参考とした “CIOMS Working Group Ⅷ報告 ファーマコビジランスにおけるシグナル検出の実践” を参照しつつ概説する.

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