1973 年 17 巻 5 号 p. 287-296
体育学研究16-5において農村児童の体格の発育状況を成分空間によって考察し, その方法的根拠を示したが, 今回は, 同様方法原理を用い因子空間によって地域差, 学年差を同一空間にて考察し, 横断的資料によるものであるが発育発達の地域差の分析を行った. 両地域児童の全学年資料を体格, 身体機能, 運動能力の3領域に分類し, 各領域毎に性別に全資料をプールして相関行列を求め, これに主因子解法を適用して, 全分散に対する貢献度が最大と第2番目に大なる因子を抽出し, 正規べリマックス法にて廻転して両因子を解釈し,この廻転後の2因子を直文軸とする因子平面を作り,この平面における地域別, 学年別の因子値の集合と平均値の大きさ, 位置関係を考察することから発育発達の検討を行った. この方法論は測定項目から能力を因子の形で抽出し, その能力値を因子値であらわして能力の発育発達を考察しようとするものである。