体育学研究
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運動能力の階級的構造について : 運動能力の系統樹
松浦 義行
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1973 年 17 巻 5 号 p. 297-307

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抄録

運動能力の構造を因子分析の立場から, 因子の階級性を仮定して分析したものはそれほど多くはないが, 松浦は1969年にSchmid & Leimanの階級的因子解法を適用して第3次因子まで抽出した. 今回, 全分散の85%が説明されるまで因子抽出を繰返し, 15因子を抽出し, これらの因子群を貢献量(固有値)の大なるほうから順に1つづつ加えてNormal Varimax法によって直文回転をほどこし, 回転終了後に因子の解釈を行い, 前回転レベルの結果と比較して因子の分化, 統合の過程を考察し, その結果から運動能力の階級的構造を樹木図に描いた. この樹木図は運動能力の各要素の分化・統合の過程が走・跳, 筋持久力の能力領域でかなり複雑であるのに対し, 体格, 静的筋力及び敏捷性, 平衡性, 柔軟性の基礎運動要素は低次のレベルで分化して高次のレベルまで他の要素とは結合することなく簡単な構造を示している事をあらわしている.

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© 1973 一般社団法人 日本体育学会
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