体育学研究
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剣道における動作と呼吸の研究 : 正面打撃・各稽古中の呼吸波形
坪井 三郎
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1973 年 18 巻 1 号 p. 23-29

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抄録

剣道技術を分析する運動科学的研究の一端として, 上面打撃(各10例), 互格稽古(各5例), かかり稽古(各5例)を対象に, 呼吸マスク法で未熟練者と熟練者の呼吸波形を比較検討したところ, 次の結果を得た. 1) 正面打撃では, 未熟練者が最大呼気時に打撃しているのに対し, 熟練者の呼吸はより規則的で打撃に近づくに従って浅くなり, 呼気相か吸気相で打撃するタイフ゜に分られたが(前タイプが70%), 両者の間には動作の効率や筋力使用に巧拙を示した. 2) 互格稽古中における熟練者の呼吸調整は, 未熟練者に比べて浅い呼吸を続け, 呼吸抑制も余りなく, 動作を容易かつ敏捷にして, より打撃の効率を高めているのがみられた. 3) かかり稽古中の呼吸作用においては, その稽古の性質から, 熟練者には呼吸波形中止息状態が多くみられた. それは連続技の時に多く, この種の稽古が如何に激しく敏捷な運動であるかが呼吸作用上明確に示された.

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© 1973 一般社団法人 日本体育学会
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