2014 年 39 巻 1 号 p. 1-9
分別分析および分析対象部位の違いが,仁果類の残留濃度に及ぼす影響を評価するため,りんご,日本梨および西洋梨について,6種農薬の残留性を調査した.その影響は,縮分試料の一方をそのまま果実として得た残留濃度(A)と,他方の縮分試料を可食部(B)と非可食部(C)に分別分析した残留濃度および果実全体に換算した残留濃度(D)を比較して評価した.その結果,非可食部には可食部よりも比較的高濃度で農薬が残留することが確認された(C/B: 1.57-2.38).果実,可食部および全果実換算値の3つの残留データ間には統計的な有意差は認められなかった.A/B: 1.07-1.24, A/D: 0.93-1.07).本調査においては,試料の縮分操作や分別分析が仁果類の残留濃度に及ぼす影響は認められなかった.