日本小児血液学会雑誌
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同種骨髄移植後, 難治性気胸を合併した2小児例
山上 正彦市原 強大竹 茂樹前川 尚三小泉 晶一
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1996 年 10 巻 3 号 p. 184-188

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抄録
症例1は17歳女性.急性リンパ性白血病第二寛解期に全身放射線照射を含む前処置後HLA一致の兄をドナーとして同種骨髄移植を施行.移植後, 急性GVHD IIo, 間質性肺炎を合併.その後, 閉塞性肺疾患によると思われる歩行時呼吸困難がみられ, 移植3年後より気胸を繰り返し3カ月後に死亡した.症例2は14歳男性.急性前骨髄球性白血病第一寛解期に自己末梢血幹細胞移植を行うも再発.ATRAによる再寛解導入後HLA一座不一致叔父より全身リンパ節照射を加えた前処置にて同種骨髄移植を施行した.急性GVHDIIIo, 慢性GVHD, 白血病再発, 肺アスペルギルス症に罹患し, 移植1年半後より気胸と多発性ブラを起こし4カ月後に死亡した.2症例ともに放射線照射を前処置とした同種骨髄移植後にGVHDと肺炎を合併し, その後気胸を併発しており, 移植の前処置としての放射線照射を選択する際には十分に注意する必要があると思われる.
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