抄録
日本小児血液学会骨髄移植委員会は, 1983年より毎年, わが国の小児における骨髄移植の全国集計を行っている.1996年6月30日現在, 125施設において3,221例の造血幹細胞移植が行われており, 昨年度より535例増加した.今年度は, 同種骨髄移植における1990年6月30日以前の成績と以後の成績を主な疾患で検討した.急性リンパ性白血病と急性骨髄性白血病では, 第1寛解期と第2寛解期のHLA適合同胞からの統計学的無病生存率は両期間で有意差がなかった.第3寛解期の急性リンパ性白血病において, 1990年7月1日以後の成績が有意によかった (45.6±14.1%vs14.3±13.0%, p<0.01).成人型慢性骨髄性白血病でも第1慢性期の無病生存率は両期間で有意差がなかったが, 全身照射を加えた方が両期間とも成績がよい傾向があった.重症型再生不良性貧血では, 1990年7月1日以後の無病生存率は110例のHLA適合同胞89.2±6.2%, 19例の非血縁68.4±20.9%と良好であった.骨髄バンクドナーからの移植は214例に行われており, 無病生存率は49.2±8.6%であった.臍帯血移植は8例, 同種末梢血幹細胞移植は27例であった.