日本小児血液学会雑誌
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プロスタグランジンE1の膀胱内注入療法が奏効した同種骨髄移植後出血性膀胱炎の1例
永田 俊人麦島 秀雄七野 浩之高村 まゆみ島田 俊明鈴木 孝陳 基明原田 研介
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1997 年 11 巻 2 号 p. 105-108

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抄録
肝炎後再生不良性貧血に対する同種骨髄移植後早期より発症した出血性膀胱炎に対し, PGE1が奏効した症例を経験したので, その臨床経過を報告する.症例は5歳男児で, 4歳時に非A非B非C型肝炎に罹患し入院加療を受けたが, その後汎血球減少がみられ, 肝炎発症後6カ月目に再生不良性貧血と診断された.HLA完全一致の兄より同種骨髄移植を行ったところ, 移植後翌日より肉眼的血尿が出現し, day3より10%マーロックス®による膀胱洗浄を連日行ったが無効であったため, day23よりPGE1 500μgの膀胱内注入療法を行ったところ, 開始後7日目には顕微鏡的血尿も消失した.PGE1の膀胱内注入療法は全身的な副作用がなく, 簡便に行うことが可能と考えられ, 今後は骨髄移植後の出血性膀胱炎に対して試みられるべき方法であると思われた.
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