日本小児血液学会雑誌
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HLA一致同胞間同種末梢血幹細胞移植を施行した7症例の検討
梶梅 輝之渡辺 力北村 明子末永 健太郎鈴谷 浩子阿部 孝典河野 嘉文横林 文子高上 洋一黒田 泰弘
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1998 年 12 巻 1 号 p. 16-21

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抄録
HLA一致同胞間同種末梢血幹細胞移植 (allo-PBSCT) の有用性をドナーの安全性を含め検討した.ドナーの年齢は3歳から30歳 (中央値;8歳) で, 末梢血幹細胞 (PBSC) の動員にはrecombinant human granulocyte colony-stimulating factor (G-CSF; 10μg/kg 5日間) を用い, 2ないし3回のアフェレーシスを行ってPBSCを採取し凍結保存した.患者の年齢は1歳から27歳 (中央値;10歳) で, 急性骨髄性白血病 (3名), 急性リンパ性白血病 (2名) および骨髄異形成症候群 (2名) の計7名であった.前処置にはbusulfan (16mg/kg) とmelphalan (210mg/m2) を併用し, graft-versus-host disease (GVHD) 予防にはcyclosporin Aとmethylprednisoloneを使用した.ドナーにはG-CSF使用やアフェレーシスによる重篤な副作用はなかった.移植後全患者で生着がみられ, 顆粒球数が500/μlを超えるまでに要した日数は9-11日 (中央値;10日) であり, 血小板数が5万/μlを超えるまでに要した日数は10-35日 (中央値;14日) であった.急性GVHDは1名を除いて軽症であったが, 慢性GVHDは3名にみられた.移植合併症で2名が死亡したが, 5名は原疾患の再発なく移植後218-460日 (中央値;373日) 生存中である.
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