抄録
わが国では小児のHodgkin病 (HD) の発症頻度が低く, 治療法は統一されていない.1984~2000年までの17年間に当院で治療したHD7例の臨床経過および治療成績を検討した.発症年齢は中央値7歳5カ月 (3歳6カ月~13歳9カ月), 男女比は6対1であった.臨床病期は限局例が5例, 進行例が2例であり, 病理組織診断はリンパ球優勢型が4例, 混合細胞型が3例であった.初期の3症例はCOPP療法を第一選択とし, 放射線照射を併用した.治療中2例に重篤な感染症を合併した.後期の4症例はABVD療法単独で治療した.治療中に重篤な合併症はみられなかった.7例全例に晩期障害を認めず, 再発もなく無病生存中である.小児のHDに対する治療法としてABVD療法は副作用も少なく, より適切な方法であると思われた.しのかし今後さらに多数例での検討が必要であり, そのためにも全国規模の多施設共同研究が必要であると思われた.